Scuderia Ferrari レーシングチーム
Tazio Nuvolari。タツィオ・ヌヴォラーリ。イル・マントヴァーノ・ヴォランテ:天駆けるマントヴァ人、などと呼ばれた戦前イタリアの最高のドライバーである。彼はリスクを避けるためにペースを落とすというようなことは考えず、ひたすら全力で走ることで知られた。従って、クラッシュも多く、満身創痍といわれたが、そのドライビング・スタイルが多くの人々を魅了した。初めて参加した 1930 年のミッレ・ミリアで、ゴール寸前であえてチームメイトのヴァルツィを抜き去ったことも、そのひとつの例である。その年、ヌヴォラーリはアルファのチームの一員として、ヴィットリオ・ヤーノ設計の 6C1750 を走らせた。そしてトップのタイムでブレシアに戻ったが、ヴァルツィの車が前方にいるのを認めると、タイムの上ではすでにヌヴォラーリの方が先行していたにもかかわらず、目の前のヴァルツィを抜かずにはいられなかったのだと伝えられている。このレースでヌヴォラーリのコドライバーを務めたのが、後にアルファのチーム・マネージャーとなるグイドッティであった。もうひとり、アルファに始まって、後にフェラーリとマセラティでレーシング・マネージャーを務めるのが、ウゴリーニである。
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